高品質果樹から産まれる芳醇な味わいに出会える山形のワイナリー。老舗果樹園ならではのノウハウと品質へのこだわりは上質な時間へと導いてくれる。
1.ウッディファーム&ワイナリー
1.つくり手さん
ワイン事業ゼネラルマネージャーの金原勇人さん。
「ワインを通して果樹の良さを感じてほしい」と実直に果樹栽培とワイン作りをされています。
近隣の同業者が、何か解らないことがあると金原さんに相談する「先生」と呼ばれるほど博学な方です。
金原さんは醸造学科卒業後、日本酒蔵の杜氏になりたかったそうです。
地酒と日本ワインを扱う酒屋で営業を務められ、縁あって、現ウッディファーム&ワイナリーの社長 木村さんに声をかけられ、「ワインも土地を表す地酒」とヴィニュロン(栽培醸造家)になることを決意され、今に至ります。
2.地域・風土
●ワイナリーのふるさと●
ウッディファーム&ワイナリーのある山形県上山(かみのやま)市は、山形県の南東部に位置し、蔵王連峰の裾野に広がっています。市内を蔵王川と須川、前川が流れており、北東に向かう盆地に市街地があります。500年以上の歴史をもつ温泉地としても有名です。
●どんな気候なの?●
年間平均気温は11℃(日本全体は15.8℃)。6月から9月にかけては平均23℃超、8月には28℃まで上がります。一方で1月には-5℃まで下がります。
盆地ということもあり、7月はフェーン現象が起きて暑い日が続き、お盆明けから10月中旬にかけては夜温がグッと下がります。この昼夜の大きな気温差が、晩熟型※の葡萄品種にはとても好ましい環境といえます。
年間降水量は1270㎜(日本全体は1720㎜)で、4月から10月までの降水量は750~850mmです。冬場に雪が降ることがありますが、積雪は比較的少なく、気候的に恵まれた土地です。
※晩熟型: カベルネ・ソーヴィニョン、アルバリーニョといった成熟に日数が必要な品種の事
●収穫のタイミング●
山形は緯度が高いため、海抜が高いエリアでは早い時期に霜が降り、葡萄の収穫時期が短くなります。しかし、ウッディファーム&ワイナリーの位置するエリアは海抜200m~300m程度。さほど海抜が高くないことから、比較的長い期間、収穫が可能です。
葡萄の収穫は9月中旬から11月の中旬までで、霜が降りるのは11月20日前後です。葡萄の実が完熟するまでじっくり育てられるのがウッディファーム&ワイナリーのワインの味の決め手といえます。
3.ワイナリーの特徴
●ドメーヌスタイルのワイナリー●
ウッディファーム&ワイナリーは、1977年にワイン専用品種を植え始め、その後果樹販売も開始。2011年からワイン事業を本格始動。開業11年目ですが、老舗果樹園ならではの、果実感があるワインを作っています。
そして、ドメーヌスタイル(※)のワイナリーであることが最大の特徴です!山形県上山市の風土の中で、自分達が育てた葡萄のみを原料とすることで、ワインの品質や味わいに直結する各工程の細かな判断ができます。
※:ドメーヌスタイル:自ら葡萄栽培、醸造、熟成、瓶詰めまで行う生産者
●栽培・収穫の工夫●
日本のなかでも9haの畑は広い方(1ha₌サッカーコート約1.4面分)。その広大な畑を二人で管理するためには様々な工夫があります。
- 葡萄の品種:皮が厚く、バラ房で収量も多く、真菌性の病気に強い品種を選定
- 収穫時期のコントロール:時期がずれるように、ボルドー品種とブルゴーニュ品種を選定し、畑ごとに管理
- 繁忙期:収穫や人手が必要な時期は、デイワークの短期バイトや、シルバー派遣などの活用
シンプルに人手を増やしていくのが良いのでは?という安易な質問に金原さんは
「多くのスタッフで一つの害虫も病気も許さないといった手間の入れ方をしたとして、そのワインに数万円をつけるという考え方は自分が思うワイナリーとして成り立っていない。最小限の人数で広い面積を管理、熟知する事で、多くの方に楽しんでもらえるワインが作れているのではないかと 大変ですが、、、」とグッと心を掴まれるコメントでした。
●二足のわらじ!?のワイナリー●
農業は酷暑や台風被害など。自然との真っ向勝負。特に、日本で栽培の難しいヨーロッパ品種のみを、自社畑原料のみで作るドメーヌスタイルのワインを提供し続けることはリスクが高く、安定的な生産は容易ではありません。
実は、ウッディファーム&ワイナリーは、ラ・フランスやサクランボなど、高品質な果実の販売、加工をメインの事業としており、安定的な経営基盤を構築しています。
この二足のわらじが、ウッディファーム&ワイナリーの大きな強みとなっています。
4.ワインの特徴
- 葡萄の品種
●原料葡萄をヨーロッパ品種に限定!●
マスカットベリーA、デラウェアの生産量日本一の山形県では、やはりこの二品種を使用したワインが多いのですが、あえてヨーロッパ品種にこだわっているワイナリーは数少ないです。
アルバリーニョ※、プティマンサン※、カベルネ・ソーヴィニョン※の3品種に大きなポテンシャルを感じ、力を入れています。
※アルバリーニョ: ・・・・・・・スペイン・ガリシア地方原産の白ブドウ品種
※プティマンサン: ・・・・・・・フランス・南西部ピレネー原産の白ブドウ品種
※カベルネ・ソーヴィニョン: ・・・・・・・世界で最も栽培される黒葡萄品種
- 製法
ウッディファーム&ワイナリーのワインは原料葡萄の品質の良さがダイレクトに伝わるように、味を変化させる補糖、補酸、セニエ※、亜硫酸添加などを行わず、葡萄の味をストレートに表現しています。
葡萄を圧搾し果汁をタンクへ移動させる工程で、基本はグラヴィティフロー※で移動させています。
品種によっては移動させるスピードを変え、酸化による味の変化をコントロールしています。
※セニエ: ・・・・・・・赤ワインの発酵途中で果汁を少し抜き取る濃縮法
※グラヴィティフロー: ・・・・・・・液体を高所から低所へ重力で移動させる手法
- 味わい
完熟葡萄が持つ果実味と芳醇な香りを活かし、酸味が全体を引き締めるバランスがとれたワイン。葡萄をほおばったような満足感を得られます。
- ワインづくりへの思い、こだわり
金原さんには、「ヨーロッパ品種でワインを作る!」という強い情熱があります。
しかし、これは「ヨーロッパのワインを目指そう」ということではありません。
かみのやまの風土に合った品種を見つけ、その個性を伸ばしていくことができるようなワインづくりを目指しています。
- 今後
ウッディファーム&ワイナリーのアルバリーニョが日本を代表するワインになれるように日々、研究と挑戦を続けていきます。
ヨーロッパワインが好きな方にも年々クオリティが上がっている日本ワインを知って貰いたい。より多くの方に指示してもらえるよう変わらず尽力していきます。
赤ワイン品種はボルドー系品種と ブルゴーニュ品種で違って、ボルドー系品種は酸化させなくてはタンニンが荒いままになってしまうので酸化的。ブルゴーニュ品種は酸化を出来るだけ防ぎたいと考え方は生産者同士で違うし、表現の仕方が違うので正解はありませんがこのスタイルが僕は良いと思ってます。とこだわりを教えていただきました。
樽の仕様にもボルドー系の樽かブルゴーニュ系の樽かブルゴーニュ系の方が酸化しにくいなど、味のニュアンスは樽メーカーで違い、ロースト具合 どこの森で どれぐらいの自然環境で 火を使って曲げているのか などメーカー各社の違いがワインの味に影響するそうで自分が作りたいワインの樽の形状が合っているかそれを確認しながら行っていくと。聞けば聞くほど深く、掘り下げて細かく教えて頂きました。
それから熟成、瓶詰、販売と本当に多くの工程をご教授頂きました。
伺ったのは10月中旬と繫忙期のど真ん中にも拘らず、快くまたご丁寧な対応いただき、金原さんをはじめワイナリースタッフの皆様に感謝申し上げます。
これもドメーヌスタイルワイナリーのウッディファーム&ワイナリーさんならではの魅力だと感じました。
金原さん、白井さんの作るウッディファーム&ワイナリー の情熱ワイン。
ご興味ありましたら是非飲んでみて下さい。
ワイナリーではワイン直売店と果樹の販売をされていますが、見学は事前連絡が必須ですので
金原さんのお話を伺いたい方はご予約をお忘れなく!
マルチブレンド 2021
2200円(税込)
品種 非公開 欧州系5種類 産地 山形県かみのやま Alc 12% 醸造所 ウッディファーム&ワイナリー ※酸化防止剤使用 きれいな酸味が特徴で、すっきりした口当たりの印象。抜栓二日目には樽の香りと丸みを帯びた酸味がバランスよく共存していきます。 ワイナリーコメント ウッディの総力戦 マルチ-ブレンド 国際品種は世界中で栽培されているが故の【スタンダード】が暗黙の内に求められてい るようです。そこで今回のトライアルは複数【マルチ】の品種をブレンドすることで、 品種名から受ける先入観を中和する試みです。ブレンドに使用した品種名は5種類【非公 開】ですが、原酒の数は7種類。 それぞれの意図が絡み合う事で、何とも中性的な液体に変化していきました。確かに品 種個性の明確な味わいを探すことは困難ですが、どこにも属さないが故の誰にとっても 素直に楽しめる味わいと解釈できます。 ウッディの白ワインに良く含まれる洋ナシの香りを主体に白桃などの核果系、杏仁豆腐 の様なクリーミーな味わいで構成されます。奥の方には、あのアロマティック品種の片 鱗が。温度帯によって樽由来の味わいの強弱が変わりますが何れも控えめです。微笑ま しいワインになってくれて安心しました。 ブレンドの原則は、【ブレンド前より美味しくなること】 2021VTのブドウは実にブレンドしがいのある個性豊かな状態でした。例えば補糖や補酸や減酸処理で矯正さ れる原酒も、ブレンド次第では十分にバランスが良くなることを実感したトライアルです。(因みにウッディで は上記の補糖も補酸も減酸処理もおこなっていません。) さて、ブドウも原酒も非公開なのでイメージでお伝えします。緑色で鋭角な酸味、黄色で香り高い酸味、黄金色 で強い甘み、黄土色の重心の低い味、薄いピンクの円い酸味、をそれぞれ順に40%、11%、33%、14%、2%と いった感じです。 是非ご賞味ください。引用:ウッディファーム&ワイナリー
ぽわぽわポワレ トロワル
2200円(税込)
品種 ラ・フランス65%、ドワイエネ・デュ・コミス23%、ゼネラル・レクラーク12% 産地 山形県かみのやま産 西洋梨 Alc 7.5% 醸造所 ウッディファーム&ワイナリー ※酸化防止剤使用 ※無濾過、無清澄 ほのかな甘味と酸味のバランス。完熟した洋梨由来の香りが魅力的な発泡ワイン。フレッシュモッツァレラチーズのカプレーゼや食後酒としてもおすすめです! ワイナリーコメント 西洋梨の多様性を追求する、 はじまりのポワレ。 山形を代表する洋梨は『ラ・フランス』だけではありません。 ウッディファームでは、色、香り、味わいの異なる様々な品 種の洋梨を栽培しています。どれも美味しいのに、やっぱり 主役はラ・フランス。そんな他の品種の為にも魅力が伝わ るように醸造を行いました。 ラ・フランスだけで仕込むより、香りも味わいも複雑になりま す。洋梨のコンポートの香りから、口に含んだ時の清涼感 溢れる果汁の風味、辛口なんだけど口当たりも優しいので 炭酸が苦手な方も楽しめると思います。山形県民以外の方 にこそ、知ってほしい洋梨3兄弟の新しいポワレです。 3種の洋梨の混醸です。追熟後、低圧で搾汁を行い、約10~14日にわたって発酵管理 を行いました。量が多く2回に分けて醸造し、後ほどブレンドしています。タンク熟成を一 か月以上行って味が馴染んでから、きめ細やかな泡を生み出すために再度酵母を入 れて瓶内二次発酵を行いました。熟成期間が長いほど、澱からくる旨みや香りがポワレ に溶け込むようです。 昨年よりも澱の量を調整し、より柔らかな印象です。引用:ウッディファーム&ワイナリー
カベルネフラン2019
3520円(税込)
品種 カベルネ・フラン 93% カベルネ・ソーヴィニョン 7% 産地 山形県かみのやま産 Alc 12% 醸造所 ウッディファーム&ワイナリー ※無濾過 自信作のカベルネフラン。渋みと酸味が調和したうま味を感じる赤ワイン。 樽の香りが上品で飲み疲れしないんです。ぶどうの本来の味を表現してます。 天高い快晴の日に、これまでで一番だろうカベルネフランを収穫しました。単独でリリー スしたのは16VT以来です。当初、フランはメルロよりも作付けが少なく、補助品種として位置づけ ていました。しかし、16VTのフランのワインからは大きな魅力と可能性を感じ、新たに20a造成し 今後はメルロからフランへの改植を進めます。 天候と習熟したスタッフに恵まれた19VTは、赤ワインは殆ど市販酵母を使用しないで醸造してい ます。市販酵母では表しきれない魅力が在るとすれば、このワインから十分にそれを感じ取って頂 けます。妖艶さやセクシーと表現される香りが、品種の素の香りと樽由来の香りの伴奏として漂い ます。あくまでメインを引き立てる香りとしてVTごとの微生物の坩堝から生み出される風味は、 一期一会のブドウの特徴を余すとこなく表現できました。もう二度と同じ系統の味わいは出来ない でしょう。 収穫されたカベルネフランは全く傷みがなく、一晩冷却後に亜硫酸を添加しながら除梗破砕を行い、そのまま低温浸漬をしつ つ市販の酵母を添加せずに発酵が促されるのを待ちました。仕込みから8日目にして顕著な発酵を確認し、大きく安心したのも つかの間、発酵終盤に糖の食い切りが遅延し(16VTではこの時点で市販酵母を添加)、あわやスタックの危険がありました。 仕込み開始から22日目にプレスを行い、発酵後のマセレーションは殆どありません。貯蔵は1~3年の古樽で行い、フリー区分 とプレス区分を分けて低温で管理しています。貯蔵中は常に不安定な印象は否めず、改めて市販酵母を使用しない醸造の難し さを痛感しました。品質が安定し始めたのは10月になってからで、漸くブレンドトライアルを行い始めました。カベルネフラ ン単独より酸の締まり、適度なタニックさの付与のためにカベルネソーヴィニヨンをブレンドしています。様々な微生物が関 与した今回の醸造では、普段得られないようなニュアンスもありつつ、やはりフランの可能性を信じずにはいられない。そん な実りあったVTとなりました。 マサル畑(一文字短梢、樹齢8〜9年)及び 楢下畑(スマートマイヨルガー、樹齢9年)引用:ウッディファーム&ワイナリー