「このワイン、今日開けたら今日中に飲み切らないとダメ?」
店頭でお客様からよくいただく質問の一つです。 特に、酸化防止剤(亜硫酸塩)が少ない、または無添加の「ナチュラルワイン」は、繊細で、開栓後の劣化が早いのでは?と心配される方も多いようです。
結論から言うと、「すぐに飲み切らなくても大丈夫(むしろ、数日かけた方が美味しいことも!)」です。
今回は、ナチュマルワインストアが考える、開栓後のナチュラルワインとの上手な付き合い方、そして「1週間を超えた先に待っているかもしれない可能性」についてもお話しします。
ワインは「生きている」。だから日々変化する
一般的なワインは、酸化防止剤によって微生物の活動が抑えられ、品質が「固定」されています。 一方、私たちが扱っている多くのナチュラルメソッドワインは、酵母や微生物がまだ「生きている」状態であることが多いです。
人間にも「朝起きたて」と「活動的な昼」、そして「リラックスした夜」があるように、ワインにも「体調」があります。
開栓して空気に触れることで、眠っていたワインが目を覚まし、呼吸を始めます。 これを単なる「酸化(劣化)」と捉えるのではなく、「成長(変化)」と捉えるのが、ナチュラルワインの一番面白いところなんです。
日数で変わる?「ワインの表情」タイムライン
「日持ち」というよりは、「日ごとの変化」をどう楽しむか。おおよそのイメージをご紹介します。
【1日目】少し人見知り?(開けたて~1時間ほど)
抜栓直後は、香りが閉じていたり、少し硬さを感じたりすることがあります。「あれ?思ったより酸っぱい?」と感じることもあるかもしれません。 でも、それはワインがまだ「緊張している」だけかも。ゆっくりグラスを回して空気に触れさせると、徐々に本来の香りが開いてきます。
【2日目】心を開いてくる(飲み頃)
空気に触れて程よく酸化が進むと、果実味がふわっと広がり、角が取れてまろやかになります。 初日は「ツン」としていたワインが、2日目には驚くほど優しく、香り豊かになっていることは珍しくありません。「初日より2日目の方が好き!」というお客様も実は多いのです。
【3〜5日目〜1週間】熟れた魅力
しっかりとした骨格のあるワインや、果皮の成分を含んだオレンジワインなどは、この頃になると出汁(ダシ)のような旨味が出てきたり、紅茶やドライフラワーのようなニュアンスが現れたりします。 ここまでくると、ワインの「底力」を感じられる時間帯です。
【上級編】7日以降の「ポテンシャル」を観察する
実は、ここからがナチュラルワインの未知なる領域です。 しっかりとした造りのワインであれば、抜栓から1週間、あるいは2週間経つことで、シェリー酒や熟成したブランデーのような、とてつもない妖艶な香りを放ち始めることがあります。
これは全てのワインに起こるわけではありませんが、生命力のあるワインが持つ「ポテンシャル」です。 「もう終わりかな?」と思ってから、さらに数日様子を見てみる(観察してみる)。そんな実験的な楽しみ方ができるのも、添加物に頼らないナチュラルワインならではの醍醐味です。
ただし、「引き際」も見極めて!
長期変化を楽しむ一方で、忘れてはいけないのが「リスク」です。 保存環境やワインの状態によっては、良い変化(熟成)ではなく、悪い変化に進んでしまうこともあります。
- 香りのバランスが崩れる: セメダインのようなツンとする刺激臭や、過度な酢酸(お酢)の匂いが強くなりすぎた場合。
- 雑菌の繁殖: 瓶内のわずかな空気に触れることで、好ましくない雑菌が増え、濁り方が変わったり、不快な匂いが出たりすることもあります。
もし、一口飲んで「あ、これは違うな」「体が受け付けないな」という違和感を感じたら、無理をして飲む必要はありません。それが、そのワインの「引き際」のサインです。
「もう飲めないかな?」と思った時の活用法
違和感を感じて「飲むのはやめよう」と判断しても、すぐに捨てないでください!加熱することで美味しく生まれ変わります。
- 料理酒として: 豚肉の煮込みやパスタソースに使えば、旨味たっぷりの隠し味に。
- サングリアやホットワインに: スパイスやフルーツと一緒に温めることで、酸味や独特の香りが和らぎ、美味しくいただけます。
まとめ:今日の「機嫌」はどうかな?
ナチュラルワインは生き物です。 「賞味期限」のようなルールに縛られすぎず、「今日のこの子の機嫌はどうかな?」と、植物を育てるような大らかな気持ちで、日々の変化を楽しんでみてください。
もし、「このワインはどれくらい持ちそう?」と迷ったら、お気軽に聞いてくださいね。そのワインが持つ「体力」をお伝えします!


