なちゅまるの勉強ノート⑦|比重測定による発酵の停止確認とは?

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「私、なちゅまるがお客様の質問や疑問にお答えする為、日々の学びを書き記していきます!個人的な興味とオタク心が強めですが、ご一読いただけましたら嬉しいです♪」

今回はある作り手さんとの会話のなかで、盛り上がった話題を掘り下げてみたいと思います!是非、最後までご覧ください♪

今回のお題は

比重測定による発酵の停止確認とは?

比重測定(Brix/Platoまたは比重計)を使用してアルコール発酵が完全に終了したかどうかを確認する方法は、比重の変化が数日間安定している状態を確認することがポイントです。
具体的にどのような状態が「発酵停止」なのか、詳しく解説します。


1. 発酵の進行と比重の関係

ワインやビールなどの醸造では、発酵が進むと酵母が糖をアルコールと二酸化炭素に分解するため、液体の密度(比重)が低下していきます。

  • 発酵初期(仕込み時):糖分が多く、比重が高い(1.080~1.100 など)
  • 発酵中期(活発な発酵):糖が消費され、比重が急速に低下(1.040~1.020 など)
  • 発酵終盤(糖がほぼ消費された状態):比重が1.000前後に近づく
  • 発酵完了(停止):比重が変動せず、安定(0.990~1.000)

2. 発酵停止の確認方法

① 連続して3日以上、比重が変化しない

発酵が完全に終了したかどうかを判断するには、最低3日間、比重を測定して変化がないことを確認します。
測定の手順は以下のとおりです。

🔹 測定方法
  1. 比重計またはデジタル屈折計(Brix計)を使用
    • ハイドロメーター(水に浮かせて比重を測る)
    • 屈折計(Brix % を測定 → Plato や比重に換算可能)
    • デジタル比重計
  2. 毎日決まった時間に測定する(例:毎日18時)
    • 発酵の揺れを防ぐため、同じ環境・同じ条件で測る
  3. 3日間連続で比重が変化しないことを確認
    • 例えば、以下のように比重が安定すること:
      • 1日目:1.000
      • 2日目:1.000
      • 3日目:1.000
        発酵停止と判断してOK!
    • 一方、次のような場合はまだ発酵が続いている可能性がある:
      • 1日目:1.002
      • 2日目:1.000
      • 3日目:0.998
        → まだわずかに発酵が続いているので、数日様子を見る

② 比重の数値が理論的な最終比重に近い

ワインやビールなど、使用する酵母や糖分の種類によって理論的な最終比重があります。
発酵が終わっているかどうかを確認するには、最終比重(FG: Final Gravity)の予測値と実測値を比較するのが重要です。

🔹 一般的な最終比重の目安
醸造品目初期比重(SG)最終比重(SG)
ビール(ライト)1.040~1.0501.006~1.012
ビール(エール)1.050~1.0601.008~1.015
ワイン(辛口)1.080~1.1000.990~0.995
ワイン(甘口)1.100~1.1201.010~1.020

例えば、辛口のワインを作る場合、最終比重は0.990~0.995程度になるはずです。
もし 1.000以上で止まっている場合は糖がまだ残っている可能性があるため、注意が必要です。


3. 比重が安定していても発酵が止まっていない場合

比重測定で「発酵が止まった」と思っても、実際には酵母が休眠しているだけで、後から再発酵するケースもあります。

① 低温発酵による酵母の休眠

  • 発酵途中で温度が下がると、酵母の活動が鈍り、一時的に比重が変わらなくなることがあります。
  • 試しにワインを温め(18~22℃)て数日置くと、再発酵するかどうか確認可能

② 瓶詰め後の微発酵(再発酵リスク)

  • 酵母がまだ生きていて、糖が少しでも残っていると、瓶詰め後に発酵が再開することがあります。
  • 酵母を完全に除去(フィルタリング)するか、SO₂(亜硫酸塩)を添加して抑えると安全。

③ 隠れた未発酵糖の存在

  • 測定した比重が1.000付近でも、発酵しにくい糖(オリゴ糖やデキストリン)が残っている場合、後からゆっくり分解されて発酵が進むことがある
  • 野生酵母を使用している場合、通常の酵母が消費できない糖を後から利用することがあり、予測不能な発酵が起こることも。

4. 確実に発酵が終わったか確認する追加テスト

比重測定だけではなく、以下の方法を組み合わせるとより確実です。

① ダイアセチルレスト(温度を少し上げる)

  • ワインやビールの発酵後、数日間温度を20~22℃に保ち、再発酵しないか確認
  • これにより、残った酵母が最後の糖を消費するかチェックできる。

② ボトルテスト

  • 瓶に少量のワインを入れ、数日間保存してガス圧の変化を観察
  • キャップを軽く開けた際に「プシュッ」と音がすれば、まだ発酵が続いている証拠。

③ SO₂(亜硫酸)テスト

  • SO₂を適切に添加し、発酵が再開しないことを確認する。
  • 一般的に 自由SO₂が25ppm以上 あると、野生酵母の活動を抑えられる。(あくまでも指標であり状態により変化)

結論

比重測定による発酵停止の確認とは、3日間以上比重が変化せず、理論的な最終比重に近い状態で安定していることを確認すること
ただし、低温発酵や未発酵糖による再発酵のリスクもあるため、追加のテスト(ボトルテストやダイアセチルレスト)を行うとより確実です。

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