第四章 ワインサービスの基本|ワインの教科書 

ワインの基本知識|ワインの教科書

ワインのサービス技術とは?

ワインを提供する際、サービス技術は不可欠な要素です。優れたサービス技術によって、お客様(飲み手)はワインの本来の美味しさを最大限に楽しむことができます。

以下の内容は、ワインのサービスにおいて基本的なポイントをまとめてみましたので、是非参考にしてみてください。

1. グラスの選び方

ワインの真の美味しさを引き立てるためには、適切なワイングラスの選択が欠かせません。

香りや味わいはグラスの形状や素材によって異なり、贅沢なワイン体験を構築するために以下のポイントに留意しましょう。また、管理には十分注意し、清潔なトーションを使用しグラスを拭き上げましょう。香り、色合いを損ないように手入れする事が重要です。

1. ワインの種類ごとに選ぶ

  • 赤ワイン用グラス: 通常は大きくて広がったボウルが特徴。これによりワインが酸素に触れ、豊かな香りが広がります。タンニンが多い赤ワインに最適です。
  • 白ワイン用グラス: 赤ワイン用に比べてやや小さめで口の部分が細くなっています。冷やされた白ワインの香りを引き立て、酸味を際立たせます。
  • シャンパン用グラス(フルート型): 細長く上向きに広がる形状は泡立ちを保ち、香りを逃さずに楽しむことができます。

2. グラスの薄さにこだわる

  • グラスが薄いほど、ワインの口当たりが柔らかく感じられます。口に含む瞬間の体験が向上し、風味をより鮮明に感じることができます。

3. グラスの容量に注意

  • グラスの容量は適量のワインを注ぐだけでなく、ワインが適切に酸素に触れるのを助けます。ただし、過度に大きなグラスは香りを逃がしてしまう可能性があります。

4. ステム付きグラスの利点

  • ステム(グラスの柄)があると、手でグラスを持つことで温度の影響を最小限に抑え、ワインが適切な温度で保たれます。また、ワインが揺れることなく香りを逃しません。

5. 洗練されたデザイン

  • デザインはおしゃれで洗練されたものを選ぶと、飲み物がより美味しく感じられます。美しいグラスはワインの魅力を一層引き立てます。

ワイングラスの選択は、ワイン愛好者や飲食店のスタッフにとって、ワイン体験を深化させるために極めて重要です。これらのポイントに留意することで、最高のワイン体験を提供できるでしょう。

2. 開栓技術

ワインボトルの開栓は、ワインサービスにおいて極めて重要なステップです。正確でスムーズな開栓技は、お客様のワインに対する期待を高めてくれます。開栓技術に焦点を当てた詳細な手順と注意点です。

開栓前、開栓後は必ず注ぎ口をトーションで拭くように癖をつけるようにしましょう。

1. 栓の種類を知る

  • スクリューキャップ: スクリューキャップのワインは、特別な栓抜きは不要です。ただし、キャップが簡単に開けられるものと、少し力が必要なものがあります。最近では開栓器具が要らない事もあり需要が増えています。
  • コルク栓: クラシックなワインでは一般的な栓。開栓に様々な器具を使用し開栓します。サービス時はスムーズに開栓をおこないましょう。開栓後のコルク栓の状態確認を必ず行うことで、味わいが損なわれたワインを提供してしまうリスクを事前に防げます。最近ではコルクの他の素材で劣化を防ぐ物などもあるので、素材もチェックしてみましょう。
  • 王冠栓: 近年増えるナチュラルな作りを行うつワインに多く使用されています。無濾過仕上げなどの再発酵による開栓被害を防ぐ事ができ、耐圧瓶の栓としても簡単に開栓できる事から使用が増えています。
  • ガラス栓(ヴィノロック): ワインの品質を守りながら、再利用可能な栓としてヨーロッパで主に使用されています。開栓も簡単で今後の普及に期待されています。

2. 開栓目的にあったワインオープナーの選定

ワインオープナーには様々なタイプがあり、それぞれに特徴があります。
お客様の前で開栓するサービスにはソムリエナイフを使用して開栓するのが飲食店では主流かもしれませんが、確実にコルクを抜く目的や、力をかけず、誰でも開栓できる事など。
ワイン開栓に求められるシチュエーションによって使い分ける事も重要です。

  • スタンダードなソムリエナイフ 扱いに少し練習が必要ですが、スマートかつ的確に開栓する事が出来ます。
  • 電動式 最近では人気が高まり、はめ込むだけで自動で開栓が行えるため、初心者や力に自信のない方におすすめです。
  • スクリュープル式は操作が簡単で収納もしやすく便利。
  • ウイング式は「てこの原理」を応用しているので軽い力で使えます。最初のスクリュー部分の打ち込みを中心に意識しましょう。
  • T字スクリュー式はコンパクトで収納しやすいですが、抜く際に慎重に抜かないとワインが溢れてしまいます。
  • エアーポンプ式は空気圧でコルクを持ち上げるため、コルクが割れにくいです。
  • レバー式は少ない手順で素早く栓抜きを行うことができる為、人気があります。
  • ガス式は特定のガスを注入してコルクを持ち上げます。

3. 栓の適切な抜き方

  • 姿勢: 開栓を行う際、立った姿勢で足を肩幅に開き、安定感を持って作業します。正確な動きを重視し、開栓の所作を身に着けることでワインに対する期待を高める事が出来ます。
  • 栓抜きのセット: コルク栓の場合、栓抜きを正確にボトルにセットします。スパイラルをコルク栓の中央に合わせる事が重要になります。
  • 均等な力の加え方: 各種ワイン栓の開栓には力を均等に加えることが重要です。急いで力を入れると栓が崩れたり、ワインがこぼれる可能性があります。

4. 栓のチェック

  • 栓の見極め: 栓を抜いた後、栓が適切に保持されていることを確認します。栓が傷んでいたり、欠けていた場合は新しいボトルを用意します。
  • ガラス片のチェック: 栓抜きを使用する際、ガラス片がワインに入っていないか注意深く確認します。お客様に提供する前に、ワインを清潔なグラスに注ぐ際にも再度確認します。

これらのステップを丁寧に実施することで、お客様に安全でプロフェッショナルなワインサービスを提供できます。開栓技術は経験と慎重な手順によって磨かれるものです。

3. 温度管理

ワインの温度管理は、その風味や香りを最大限に引き出すための鍵となります。

1. 適切なサービス温度の理解

  • 赤ワイン:
    • 一般的なサービス温度: 15℃~18℃
    • 赤ワインは温かすぎず冷たすぎない中庸な温度で提供されると、豊かな風味やタンニンが最も際立ちます。軽めの赤ワインは低めの範囲、フルボディのものは高めの範囲が適しています。
  • 白ワイン:
    • 一般的なサービス温度: 8℃~12℃
    • 白ワインは涼しい温度で提供されることで、酸味と爽やかさが際立ちます。樽で熟成したものやボディのある白ワインはやや高めの温度で提供されることがあります。
  • スパークリングワイン:
    • 一般的なサービス温度: 4℃~8℃
    • スパークリングワインは冷やされていることが重要です。冷たい温度で提供することで、気泡の持続性や爽やかな風味を楽しむことができます。

2. ワインクーラーの活用

  • 目的: ワインクーラーはワインを所定の温度に保ちながら提供するための理想的なアクセサリーです。
  • 種類: 一般的なワインクーラーは恒温式と氷温式があります。飲み頃の温度を維持する物、より温度を下げる物と目的に応じて選択してください。
  • 設置場所: お客様近くのサービステーブルを主に、ドリンカー、カウンターなどワインの温度をこまめに確認できる場所をおすすめいたします。

3. 冷蔵庫の活用

  • 長期保存: 長時間ワインを保管する場合は、ワインクーラーよりも冷蔵庫が適しています。特に白ワインやスパークリングワインは低温で保存されることが好ましいです。

これらの温度管理のポイントを遵守することで、お客様にとって理想的なワイン体験を提供できます。ワインの風味や香りは温度次第で大きく変わるため、注意深いサービスが求められます。

まとめ

第四章ではワインのサービス技術をご紹介させていただきました。

ワインの奥深さを引き立て、お客様に極上の体験を提供するためには、グラスの選定から開栓技術、温度管理まで、細部にわたるサービスが欠かせません。ここでご紹介したガイドラインが、ワイン愛好者としての知識を高め、飲食店でのワインサービスを格上げしてくれることでしょう。素晴らしいワイン体験をお届けできることを心より願っております。

第五章ではワインの価格帯と品質 予算に合ったワインの選び方や、高品質なワインを識別するスキルをご紹介して参りますので、是非ご覧ください。

それでは次回お会いしましょう(^^)

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