ワインにおける『ピーマン臭』とは?ワインの表現 |ナチュマルワインストア

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ワインにおける「ピーマン臭」とは、ピーマンや青草のような香りを指します。これは主にメトキシピラジンという物質が原因です。

ピーマン臭=ピラジンとは?

ワインとピラジンの関係は、ワインの香り、特に特定のブドウ品種で特徴的な 植物的な香り(グリーンノート) に深く関わっています。

ワインの世界で「ピラジン」という言葉で主に指されるのは、メトキシピラジン類 という一群の化合物です。

特に重要なのは以下の2つです。
2-メトキシ-3-イソブチルピラジン (IBMP)
2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン (IPMP)
これらは非常に低い濃度でも人間の嗅覚で感知されやすく、ワインに独特の香りを与えます。

生成場所は?

メトキシピラジン類は、ブドウの生育初期に果皮の細胞内で生成されます。

成熟に伴う変化

ブドウが成熟するにつれて、日光に当たることでピラジンは徐々に分解されていきます。この分解は、酵素の働きや光化学反応によって起こると考えられています。

果肉への移行

果皮で生成されたピラジンの一部は、果肉にも移行する可能性がありますが、その濃度は果皮に比べて低いと考えられています。

種子や梗(茎)には

種子や梗にもピラジンが含まれている可能性はありますが、ワインの香りに大きく影響を与えるのは主に果皮由来のピラジンです。全房発酵のように梗を一緒に醸造する場合、梗由来のピラジンがワインに影響を与えることもあります。

なぜ果皮に多いのか?

果皮は、ブドウが外部環境と直接接する部分であり、紫外線や捕食者からの防御のために様々な化合物が生成されます。ピラジンもその一つと考えられています。

ワインへの影響って?

ワイン醸造の過程で、果皮に含まれるピラジンが果汁に溶け出し、ワインの独特な植物的な香りとして感じられるようになります。
醸造方法(マセラシオンの時間、温度など)によって、ワインに抽出されるピラジンの量も変わってきます。

ワインにおけるピラジンの役割と影響

特徴的な香り:

メトキシピラジン類は、ワインに ピーマン、青唐辛子、アスパラガス、ハーブ、葉っぱ のような植物的な香りをもたらします。
これらの香りは、特に以下のブドウ品種で顕著に感じられます。

カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・フラン
ソーヴィニヨン・ブラン
カルメネール
メルロー(比較的冷涼な地域で栽培された場合)

テロワールと気候:

ピラジンの生成量は、ブドウの栽培地の気候条件に大きく左右されます。

冷涼な気候や日照不足だと、ブドウの成熟が遅れ、ピラジンが分解されにくいため、ワインに植物的な香りが強く現れる傾向があります。

一方、温暖な気候や日照量の多い場合は、ブドウが十分に成熟し、ピラジンが減少するため、植物的な香りは穏やかになることが多いです。

ブドウの成熟度に関しては、未熟なブドウにはピラジンが多く含まれています。収穫時期が遅れるほど、ピラジンは減少していきます。

醸造方法によっても

ブドウの梗(茎)にもピラジンが含まれているため、全房発酵を行うとワインに植物的なニュアンスが強く出ることがあります。

除葉がポイント?

ブドウ果実に日光を当てることでピラジンが分解されるため、除葉のタイミングや程度がワインのピラジン含有量に影響を与えます。

ワインの個性としての香り

適度なピラジンの存在は、ワインに複雑さや個性を与える要素として評価されることもあります。
しかし、過剰なピラジンはワインの果実味を隠し、未熟で青臭い印象を与えることもあります。

まとめ

ワインのテイスティングコメントで「ピーマン香」などの植物的な香りが言及される場合、それはピラジン類に由来する可能性が高いです。
ピラジンは、ワインの品質を評価する上で重要な要素の一つであり、そのバランスがワインの味わいを大きく左右します。
ワインを飲む際に、これらの植物的な香りに注目してみると、ピラジンがワインにもたらす影響をより深く理解できるかもしれませんね♪

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