「私、なちゅまるがお客様の質問や疑問にお答えする為、日々の学びを書き記していきます!個人的な興味とオタク心が強めですが、ご一読いただけましたら嬉しいです♪」
今回はある作り手さんと定期的に行う学び会で、少し気になった会話や振り返って自分で掘り下げてみたいと思います!是非、最後までご覧ください♪
予期せぬ「スタック」について
ワイン醸造において「スタック」とは、酵母がアルコール発酵を途中で止めてしまい、ワインが完成しない状態を指します。
野生酵母を用いたワイン醸造における「スタック」という現象は、醸造家にとって非常に悩ましい問題で、そのメカニズム解明は、より高品質なワイン造りに繋がると考えられます。
考えられる原因は?
畑の環境と多様な菌類
土壌栄養素不足
土壌中には、酵母が成長して発酵を続けるために必要な栄養素(例えば、YANやチアミンといった窒素化合物や微量の元素)が不足している場合。
病果率
病果を多く使用したワイン醸造は、酢酸菌などの他の微生物を多く含み、発酵に悪影響を与える可能性があります。
温度管理
高温での発酵は、酵母の生育を妨げ、最終的に「スタック」を引き起こすことがあるため注意が必要です。さらに、高温の影響で重要な揮発成分が蒸散し、ワインの風味が失われることや、望ましくないフレーバーが生じることも懸念されます。
慣行栽培と有機栽培
慣行栽培のブドウでスタックが起こりやすいという経験は、化学農薬が酵母や他の有用な微生物に与える影響を考えさせます。化学農薬は、土壌中の微生物相を変化させ、酵母の生育を阻害する可能性があります。
タンクや樽
木樽は、その構造上、菌が定着しやすい環境を提供します。しかし、新しい樽ではスタックが起こりやすいという経験は、樽材の成分や、新しい樽特有の成分が酵母に影響を与える可能性を示唆しています。
衛生管理
醸造機器の洗浄は、酵母の生育に影響を与える重要な要素です。徹底的な洗浄は、酵母の生育に必要な栄養源を奪ってしまう可能性があります。一方で、あまりにも不十分な洗浄は、有害な微生物の繁殖を助長する可能性があります。
新しい見解
酵母の生理とスタック
キラー酵母: キラー酵母は、他の酵母を殺す物質を産生し、発酵を阻害する可能性があります。
脂肪酸: 脂肪酸は、酵母の細胞膜に影響を与え、発酵を阻害する可能性があります。
その他の要因: 温度、pH、アルコール濃度など、様々な要因が酵母の生育に影響を与えます。これらの要因が複合的に作用することで、スタックが起こる可能性があります。
発酵を促すため環境と今後の課題
畑の環境
畑の環境は、菌類の多様性に大きく影響します。隣接する森や風の抜け方、野生動物や昆虫など、様々な要素が菌類の生態系を形成します。多様な菌類が存在する環境は、より安定した発酵をもたらす可能性があります。
今後の課題
酵母だけでなく、乳酸菌や酢酸菌など、多様な菌類がワインの味や香りに影響を与えます。これらの菌類の相互作用を解明することは、より複雑で奥深いワイン造りに繋がると考えられます。
また、メタゲノム解析を用いることで、ワイン中の微生物の多様性を網羅的に解析することが可能になります。これにより、スタックの原因菌を特定したり、発酵の過程における微生物の動態を明らかにしたりすることが期待できます。
異なる畑のブドウ、異なる醸造機器、異なる酵母株を用いた実験を行うことで、スタックの原因をより詳細に解明することができます。
皆さん、最後までお読みいただきありがとうございました!
私のちょっとマニアックな探求にお付き合いいただけて嬉しいです♪
今回のテーマ、少しでも参考になれば幸いです。まだまだ奥が深いワインの世界、一緒に楽しく学んでいきましょう!
もし気になることや、「もっと知りたい!」と思うテーマがあれば、ぜひお気軽にコメントやご質問をくださいね。
それでは、また次回の学びでお会いしましょう!なちゅまるでした♪