ZARO ザロ (スロヴェニア、プリモルスカ)
ZARO ザロ・ビアンカ泡2022
産地/スロヴェニア、プリモルスカ
生産者/ZARO(ザロ)
品種/ビアンケーラ・マルバジア・シャルドネ
ヴィンテージ/2022
アルコール度数/11.5%
容量/750ml
適温/6~16℃
生産本数/4000本
Taste
青りんご、黄りんご、黄プラムの香りが広がります。ドライでフレッシュな印象です。まるで甘くないぶどうジュースのよう。りんご酸がイキイキと感じられます。1日置くと味わいに落ち着きと重厚感が出てきます。泡が抜けても、”オレンジワイン”(スティルワイン) として楽しめるお得な1本です。底の方は滓の旨味が強くて美味しいです。
Marriage
フレッシュでミネラルが豊富なので、魚貝全般とよく合います。鮮魚のカルパッチョ、シーフードサラダ、酢の物、南蛮漬け、イカやタコのフリット、野菜の天ぷら、アジフライ、魚の唐揚げ、フレンチフライなど。なんだか揚げ物が無性に食べたくなるワインです。後味の滓の味わいと魚の旨味もドンピシャです。
Attention
ガス圧がシャンパーニュ並みに強いペットナットです。抜栓時に噴きこぼれる恐れがありますので十分にご注意下さい。
揺れ・振動は厳禁。そーっと動かす。お迎え直後は最低3日、暗所で安置する。
① 冷蔵庫でキンキンに冷やす。(6℃)
② 斜め45度に傾けて栓抜きで開ける。
③ 必ず受け皿・器の上で開栓する。
楽しく召し上がれ!!
Wine Making
ビアンケーラ/Bianchera主体のペットナットです。ビアンケーラはとても古いイストラの土着品種です。豊かな酸を兼ね備えているので、マルバジアのブレンドとして使われてきました。このワインにもブレンドされているマルバジアは、イタリア、クロアチアでもメジャーな品種です。プリモルスカ地方では第5位、イストラ地区では第2位の栽培面積を誇ります。8月20日に収穫して、ステンレスタンクを用い、果汁に果皮を漬け込む「醸し」を数日ほど施しました。残糖がある状態で9月4日にボトリングを行っています。10月5日前後まで発泡は続き、12月初旬には完全に発酵が終了しました。スロヴェニアにおいてペットナットの格付けは、最下位のDezelno vino、いわゆるカントリーワインです。フランスで言うところのVin de paysにあたります。スロヴェニアではペットナットのような滓引き、清澄なしの濁りワインは、全てカントリーワインです。この話をマテーシュとしていたら、「今や格付けシステムは古で、誰もそれに則って行動しません。もし格付け最上位のKakovostno ZGPを名乗ろうものなら、デゴルジュマン(滓引き)をして、4本のボトルを検査機関に送らなければなりません。そうしてはじめて、Kakovostno ZGPが与えられます。でも私たちは、はなから格付けに興味がありません。美味しくてみんながこのワインを好きでいてくれたら、それが何よりです」と。肩書き以上に信念やハートを大切にするスロヴェニア人。本質を貫いた格付け規定外のペットナット。生産者の人となりが表れたワインです。ぜひご賞味下さい。
Story
ZAROは1348年からスロヴェニア南西部のイゾラという港町(イストラ地区)でワインを造り続けています。創業700年の歴史を誇り、イストラ半島では最古のワイナリーです。設立当初は2haのオリーブ畑からはじめて、今やワイン産業がメインとなりましたが、ぶどう畑とオリーブ畑を合わせて20haほど所有しています。0.5ha以下の小規模な生産者が多いスロヴェニアでは、20haは広大ですが、全て家族で切盛りしています。
先祖から代々受け継いだ伝統を今に伝えます。畑の耕作や醸造においては、より良いワイン造りを求めて、現代的なアプローチでアップデート&アップグレードしてきました。ZARO家の長い歴史の中で、スロヴェニア共和国が誕生する以前の社会主義国家時代は、生産者の元詰めが禁止されていました。1991年に旧ユーゴスラビアから独立すると、ZARO家でも1994年より栽培からボトリングまでを一貫して行うことになりました。近年では2015年に世代交代し、現在は32歳の若きマテーシュを筆頭に、ワイン造りに精を出しています。
春から秋にかけて、ZAROの畑は色とりどりの花畑と化します。蝶が舞い沢山の生き物の住処となります。雑草(カバークロップ)は表土を守り、土壌の水分を保ちます。畑はPH7~7.2の中性の土壌で、貝殻も見られます。海岸からわずか1キロメートルの距離で、昔はこの一帯は海の底でした。そのため土壌にはミネラルが豊富で、それらはワインにも影響を及ぼしています。80%の畑が35~45°の丘の傾斜の中腹に広がり、全て南に面しています。1日(10時間/日以上と)長きに渡り太陽を浴び、十分な日照量が確保できます。斜面を海風が吹き付けるので、湿気は低くぶどうはカビなどの病気からも守られます。
ZAROは各々のキュヴェで、目指すワインのスタイルによって、ぶどうの房数や葉の枚数をコントロールしています。また、畑の区画、収穫のタイミング、選果基準を変えています。例えば黒ぶどうのレフォシュクでは、フレッシュなロゼワイン用には、酸味がピークの9月上旬に収穫します。同じ品種でも上級キュヴェの赤ワイン用には、糖度が最高になるまで待ち、水分が凝縮されて果皮にシワがよるまで待って摘みます。果汁は糖度計で30度あります。とても甘いのですが、この品種は酸が豊かなので、実に良いバランスです。「ワインの全てはぶどうからはじまる」とZAROは信じています。
どんな理由で自然派ワインを造っているのか質問しました。ワインを哲学する時、好きが根底にあることが大切だとマテーシュは語ります。食品に厳しいスロヴェニアは、オーガニック産業の先進国です。自然に沿ってぶどうを育てワインを造るのが重要だと彼は答えました。熱心に先輩たちから学ぶ若者の姿勢、困った時にはお互い助け合い、イストラの生産者ネットワークには、現代では希薄になってしまった人間関係が密に感じられます。チャレンジ精神が旺盛な世代が、これからもスロヴェニアのワイン業界を牽引していくことでしょう。ZAROマテーシュもその一人と想像します。