KABAJ カバイ (スロヴェニア、プリモルスカ)
KABAJ カバイ・ティベティア2020
産地/スロヴェニア、プリモルスカ
生産者/KABAJ(カバイ)
品種/マルバジア
ヴィンテージ/2020
アルコール度数/13%
容量/750ml
適温/6~16℃
Taste
オレンジワインを泡にしました。『滓』の魅力が存分に味わえるナチュラルワインです。青りんご、洋なしなどの清々しいアロマ。販売中の2019年と比べて、2020年は酵母によるクリーミーさや旨味がUPしています。前年度より「優しさ」をワインから感じます。味わいの変化が面白く、飲みはじめは酸がフレッシュで軽快&爽快。ボトル底に進むにつれて、次第に滋味深さや味わいの濃さが現れます。親しみやすさは満載です。泡が抜けてからも美味しい、いやむしろ故意に泡を抜いても良いぐらい、オレンジワインとしても楽しめる一石三鳥のワインです。
Marriage
《おすすめの料理》あん肝ポン酢、白和え、がんもどきの煮物、筍の土佐煮。前年と同様に小籠包、餃子、豚まん、ロールキャベツなど、中に挽肉が詰まった料理もよく合います。滋味な挽肉の旨味にワインが優しく寄り添います。
Attention
ガス圧がシャンパーニュ並みに強いペットナットです。抜栓時に噴きこぼれる恐れがありますので十分にご注意下さい。
揺れ・振動は厳禁。そーっと動かす。お迎え直後は最低3日、暗所で安置する。
Wine Making
3度の来日を経験しているKABAJワイナリー、当主ジャンが手掛けるオレンジワインのペットナットです。ぶどうは収穫後、破砕して7日間果皮ごと醸されます。残糖が20g/Lになったところで、ボトリング(2021年1月10日)してその後の発酵を瓶内で施します。二酸化炭素がワインを酸化から守ってくれるので、亜硫酸は無添加です(ただし、酵母の副生成物として総亜硫酸は7㎎/L含有)また、5気圧以上の高圧なので、王冠栓を開ける際は、十分にご注意下さい。動かした直後や冷却が不十分な場合、開栓と同時にワインが噴き出します。抜栓直後よりも3日~1週間ぐらい置いた方が、より美味しく感じられます。
Story
最も古く、最も新しいワイン造り
KABAJがスロヴェニア全土で注目されている理由の一つが、ジャンがフランス人であるからかもしれません。ジャンはボルドー出身で若いころからワイン造りに身を置いてきました。ボルドーを皮切りに、イタリア、ジョージアと修業に繰り出します。最終的にはスロヴェニア人と結婚して、イタリアとスロヴェニアの国境の街、ゴリシュカ・ブルダで落ち着きました。その類まれな人間力から、時に人々を遠ざけ、また魅了してきました。韓国人インポーターのフィリッポを除いては、ジャンをコントロール下に置くことは家族ですら不可能です。ジャンに関して困った時は、皆フィリッポを頼りにします。彼のことをよく知る人の間では、【破壊と創造のジャン・ミッシェル・モレル】と呼ばれています。スロヴェニアではジャンの名を知らぬ者はいません。実にクレイジーで賢い男です。コミュニケーション能力にも優れているので、7ヶ国語を器用に使い分けられます。持ち前の営業力から、KABAJワインの95%はEUやアメリカなどの海外で消費されます。造り手にしては珍しく、腕が良いだけでなくPR推進力と2足のわらじを履きこなしています。そんな個性的でぶっ飛んだ人が造るのがKABAJワインです。
かねてからジャンは、まっすぐな姿勢でワインを造ってきました。奥さまカティヤの実家であるKABAJ家の歴史を尊重し、自然を慈しみ、一切の妥協もなくワインと向き合ってきました。ぶどうは農作物なので、その年によってクオリティも収量も異なります。ヴィンテージ毎のバラツキが甚だしく、この年は99点で別の年は30点と、年の差があるのは自然の産物だから仕方がないことだ。という生産者もいます。ジャンに言わせれば、それはナチュラルワインに甘んじるような造り手で、単に醸造技術が低いのだろうと。自身の失敗を天候や食材などの条件のせいにするようなシェフは、プロとは言えません。量産される工業ワインを除いて、通常は多少なりとも年の差は表れます。ところが、さほどヴィンテージを感じさせないのが、ジャンのワインです。試飲なしで仕入れができる唯一のワイナリーです。ワインはとても安定しているのです。その安心の裏には、私たちの想像をはるかに超える、細心のケアと愛情があります。
数々の研修地の中でも、とりわけジャンはジョージアワインに感化されました。わざわざジョージアからアンフォラ(クヴェヴリ)を陸送して、カーヴに埋めるほどの熱の入れようです。アンフォラを使用するワイナリー25社から結成される、『XELOBA KARTULI協会』のメンバーでもあります。彼らの共通の想いは、ワインの起源である「昔ながらの自然なワイン造りへの回帰」です。古代の技術を現代のワイン造りにも取り入れることを目的とし、日夜、その研究と促進に取組んでいます。このワイン造りは最も古く、かつ最もモダンです。赤ワインのように果皮ごと醸造を施した白ワイン(オレンジワイン)をスロヴェニアでは、”After old wine”と呼んでいます。昔のワインのその後・・・・、まだまだ生産者たちの挑戦は続きます。
土壌はワインの前身で、最もワインに影響を与えています。ミネラルが豊富で健全な土とハイクオリティのぶどうありきの考えで、最高のぶどうから最高のKABAJワインは造られるのです。土壌のテロワール以上に、ジャン自身の個性(キャラクター)がワインに具現化されていると感じます。「自分が手掛けたワインは、他の誰よりも自分が愛さなければならない」とジャンは語ります。ワインそのものが、ワイン造りにおける哲学を示しています。KABAJの世界を知るには、ワインを飲むのが一番わかりやすいです。彼のワインがきっかけで、私たちはワインとジャンのことが大好きになりました。機会がございましたら、ぜひご賞味下さいませ。