DM du Val des Rois <ドメーヌ・デュ・ヴァル・デ・ロワ>
Côtes du Rhône rouge ≪Les Allards au naturel ≫ コート デュ ローヌ ルージュ レザール オー ナチュレル
アルコール度数:13.5%
SO2:トータル 10 ㎎/ℓ(サンスフルだが、ブドウ自身の SO2 を検出)
Memo:ヴァルレアと Vinsobres / ヴァンソブルの間に、Les Allard / レ・ザラールという特別な区画。粘土石
灰質の土壌に少量の小石を含む丘で、南東向きの丘。ブドウはてっぺんの葉を切らずに 1.8m 近くまで枝を伸ばし、のびのびと育てる。
手摘み収穫後、醸造中も瓶詰時もいっさい SO2 を加えないため、酸化をいかに防ぐかがカギとなる。
樽を使わない。
スーティラージュの際にも窒素を加えながら行なう。
<ドメーヌの概要>
現当主は Emmanuel Bouchard / エマニュエル・ブシャール氏。
1965 年にエマニュエル氏の父親のロマン・ブシャール氏が南ローヌの Valréas / ヴァルレアに畑を持ったのが、ドメーヌの始まり。ブシャールと言う名前から想像ができるように、ロマン氏は9代続くブルゴーニュワインの名家ブシャール家の出身。
息子のエマニュエル氏は 1997 年にドメーヌを引き継ぎ、2001 年より妻のエリカとともにオーガニック栽培に取り組んでいる。
2013 年エコセール認証取得。
<栽培>
畑はトータルで 11haを所有。10haの南東向きの畑にグルナッシュ・ノワール、シラーなどの黒ブドウ、残り1haにグルナッシュ・ブラン、ブールブランク(現地の発音)、ヴィオニエなどを植えている。
土壌は 5.5ha がワインの味わいに骨格を造る粘土を含む石灰の丘陵。
残り 4.5ha は香り高くフルーティな味わいとなる砂質を含む粘土質。
栽培はビオロジック農法。
もちろんすべての畑で除草剤、化学肥料、農薬は不使用。
栽培に対する哲学は、1、ブドウの樹の病気に対する抵抗力(自然治癒力)を高めること。2、ブドウが最大限に熟してから摘むこと。3、畑の生物多様性を活性化すること。
ブドウ樹は、上に伸びていく枝はあえて切らず、伸び放題のようにも見えて驚かされる。理由は葉の光合成によってブドウが熟するので、できるだけ葉は落とさないほうがよいということと、果実を暑さから守るという実用面に基づいている。しかし遮熱のためという2番目の理由はあまり重要ではない。
畑はコート・デュ・ローヌの南では最北にあり、標高も高いところでは 350~400m ある。
また土壌にも多少の粘土を含んでいるので、比較的水分を溜めやすく、冷たい土になる。これらの特徴はブドウを暑さから守り、ワインにフレッシュさをもたらす。
また、除草剤を使わないために通常は鋤込んで葉を取り除くのだが、このドメーヌの畑の畝はすべて鋤込まずに、一列ごとに耕している。
理由は余分な水分を吸い取ってブドウの根と望ましい競合を起こすため。
翌年には草の生えている畝から、鋤込んでいる土のみの畝に種が飛ぶので自然の生態系が保たれる。
<醸造>
醸造の最大の特徴は、テロワールを表現する為に熟成に樽を使わないこと。樽を使うと酸化しやすくなるため、ブドウ本来の味わいが活かされにくく、また酸化防止剤も多く使わなければならないからとのこと。
基本的には酵母を添加せず、自然酵母で発酵しているのもそうした理由から。
発酵、熟成にはすべてセメントタンクを使用するが、50hl と 60hl の2種類があり、小さい方は熱が逃げやすく、大きなものは温度が上がりにくいので、2つを温度調整をしながら使う。SO2 無添加のワインを造りはじめたのは、2012 年から。
エマニュエル氏自身も熟成は難しいと思っていたのだが、最近2012 年を飲んでそのポテンシャルに驚き、SO2無添加ワインを造り続ける自信を持つようになった。